旧朝香宮邸の建物紹介は今回が最後。姫宮の居住スペースと、ここまでくると意外な唯一の和テイストの「小食堂」です。お部屋の素敵さは言わずもがな。星型の照明がとってもかわいくて持ち帰りたいくらいでした!
2階 北側ベランダ(北の間)
南向きのベランダとは廊下を挟んで逆にあるベランダは通称「北の間」。北向きで夏は涼しいことから夏の家族のだんらんの場として使われていました。
両サイドの壁にはめ込んであるガラス枠はモダンなデザイン。おしゃれだわ。
大理石の下の腰壁部分のタイルはスクラッチタイル、床は布目タイル。どちらも泰山タイル製です。
天井には天窓が開けられていて採光も十分。北向きといっても目の前は開けてるし、上部から光が差してくるし、十分な明るさです。
朝香宮邸は「ロ」の字型になっていて、内側を向いている北の間のベランダからは中庭が見えます。その先にあるのが「ロ」の字の反対側で、臣下の人やスタッフが生活していた場だったそうです。そこも公開してくれないかしら。
2階 ”こんぺいとう”の廊下
北の間を出て姫宮の居住スペースへ向かいます。ここで、旧朝香宮邸でワタシが最もときめいた物があるんです!
か・・・かわいい・・・
星型のステンドグラスの照明です。
あまりにかわいくて写真を撮りまくっていたらスタッフさんがおしえてくれました。
この照明は通称「こんぺいとう」と呼んでいて、冬の閉館間近になると陽が落ちるのが早くなるので、暗くなった時に見るのがとてもきれいだそうです。ぜひ冬の閉館前に来てください。とのこと。これは見に行きたい!
こんぺいとうのすぐ下の扉の先は姫宮の居間。姫宮に合わせてかわいい照明を選んだのでしょうか。
この照明、かわいいなぁ。
このデザインのピアスがあったら、絶対買うよ!!!
いや、こんぺいとうだけでない。大客室のラリックの照明、若宮の合の間と居間の照明、殿下の寝室の円錐形の照明、ベランダの照明、妃殿下の居間の5つの球体の照明、これ全部、ピアスにしてくれっ!
姫宮のお部屋への期待が高まるけれど、その前にもう一枚。
「3階 ウィンターガーデン」への階段です。ゲストの目にふれる第一階段と違い、家族用のスペースなので、階段は木造のようです。
この先には温室がありました。3階だというのに花台のお花に水をあげるための蛇口、そして排水口もあったといいます。床はベランダのような市松模様の白と黒の模様(ただしこちらは人造大理石)。
残念ながらこの時はコロナ対応で入場できなくなっていました。
2階 姫宮 寝室
思ったより狭い寝室。この時はイスとテーブルが置かれていました。
床の木のデザインが細かっ!
寝室ということで、きっとコーディネートしただろう允子妃殿下だったらピンクを選ぶのかな?と思ったら意外と落ちついた壁紙でした。そしてやっぱり妃殿下が姫宮のためにいくつかピックアップして、姫宮がその中から選んだそうです。
朝香宮邸の壁紙はほとんど張り替えられていて、デザインが復元されたものもありますが、この姫宮の寝室、となりの居間の壁紙は当時のままということでとても貴重。若干メタリックがかっていてシルバーブルーというのかな?当時としてはハイテクだったんじゃないかと。残っている竣工当時の白黒の写真でも窓から入ってくる光を反射して、四角が重なっているような模様がとてもよくわかります。
右側にある姿見のついた収納は当時のクローゼットかな。これはオリジナルのものだとのこと!
反対側には押し入れ?
しかもなんか、塗装が剥げてる?
・・・というわけではなくて、色紙や短冊を飾ることができるように作られているんですって!
すごい!自分の趣味で飾り付けて、好きなものと一緒に過ごせる造りになっているなんて。今ならきっと推しのポスターやプロマイドを飾るんだろうな。好きなものが多い允子様のアイデアかしら。
で、このお部屋、寝室のわりにはベッドをどう置くんだろう・・・と心配になるほど狭い。
竣工当時の写真を見ると、この写真の左側を頭にし、窓に沿って置いていたようです。当時のベッドって縦幅も横幅も狭いもんな。
2階 姫宮 居間
寝室の隣にあるのが居間。こちらは広いですね。
そしてやっぱり収納も多い。収納ボックスの木の扉にはうっすら模様が入っているではないか。
マントルピースはサーモンピンクの大理石「紅霰(べにあられ)」で作られています。近写真だとうまく色がでないけど、本当にサーモンピンクなんです!かわいい!
マントルピースの内側は、写真ではカバーがあるのでわからないけれど、外すと濃い紫とピンクの中間のようなけっこう派手な色の布目タイルが貼られています。これは自分の目で見て見たかったな。百年名家さん。中まで見せてくれてありがとう!
壁紙は当時のまま。虹色ストライプというけど、さすがに色あせてますね。でも明るい赤っぽい色は判別突きます。当時、どんな色味だったか復元して展示してほしいな。
照明は傘が逆についているような、これまた面白いデザイン。
床は寝室と同じく寄木でまた芸が細かい。カーペットで一部覆われていますが、寄木細工の床のデザインチェックもお忘れなく!
ウィンターガーデンへ続く階段を上ではなく、下に降りて最後のお部屋の見学です。
この丸窓もアール・デコなデザインで素敵。手すり部分にも幾何学的な模様が彫られている。家族しか使わない階段でも手を抜かない!
小食堂
階段を降りたところにある小部屋は小食堂。朝香宮の方々が普段、食事をとっていた場所です。テーブルと椅子を置いて4人座ったらいっぱいいっぱいだったのでは?という広さ。
朝香宮邸では唯一の「和」テイストの部屋で、右側に床の間のような空間が。竣工当時の写真を見ると、壁紙の色はもっと暗い色だったようですね。
床は寄木。周りの黒いのは黒檀ということで、これまたゴージャスですわ。
これに直にテーブルや椅子を置いたのかな。カーペットをひいたのか?傷がつくよな。とか貧乏性なので考えてしまう。
天井は杉の板で、漆喰ではないところが他の部屋とは違うところ。
ラジエーターレジスターは源氏香の模様になっています。朝香宮邸ではたぶん、この部屋が唯一なんじゃないかな。源氏香の模様がアール・デコの柄になっちゃうなんて。青海波といい、日本古来の模様ってアール・デコと相性が良いのね。
これで朝香宮邸の見学は終了。
朝香宮邸からつながっている新館では2020年9月27日まで「東京モダン生活」というテーマで1930年代からの一般人の生活についての展示が行われています。1923年に関東大震災があり、その後の復興の中で活気づく東京、日本の様子がわかる展示でした。
新館にはミュージアムショップとカフェもあります。
・・・と、ここで帰らず庭園もぜひ見て行ってください。なんてったって「東京都庭園美術館」ですから。
庭園側から眺めた旧朝香宮邸。左にあるのが新館です。日本庭園もあり、外観見学だけですが茶室もあります。
日を改めて、旧朝香宮邸の入口近くにあるフレンチレストラン「du Parc」にも行きました!
次回はdu Parcの見目麗しい、そして美味なお食事を紹介します。
設計:宮内省内匠寮工務課
内装デザイン:アンリ・ラパン 宮内省内匠寮
竣工:1933年
住所:東京都港区白金台5-21-9
Tel:03-3443-0201
開館時間:10:00~18:00 (入館は17:30まで)
※庭園のみ公開の期間は旧朝香宮邸と新館には入れません。
休館日:毎月第2、第4水曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
入館料:¥200(庭園のみ) 本館(旧朝香宮邸)、新館の入場は展覧会による
アクセス:
・JR山手線 目黒駅東口/東急目黒線「目黒駅」正面口から徒歩7分
・都営三田線・東京メトロ南北線 白金台駅1番出口から徒歩6分
と案内にありますが、目黒駅からのほうが若干歩く距離が少ないような気がします。
どちらからでも目黒通りに出れば1本道。庭園美術館の入口は通りに面しているのですぐわかります。
※コロナ対策期間中はウェルカムルームの使用は不可
旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか
朝香宮家についてから旧朝香宮邸の建物、装飾、調度品にいたるまでを解説した本。
写真も多くて読みごたえがあります。旧朝香宮邸に置いてあり、ミュージアムショップでも購入することができます。
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