不思議の国のへんてこりんな世界 「特別展アリス」に行ってきた!

「特別展アリス へんてこりん、へんてこりんな世界」に行ってきました!

ロンドンのV&A(Victoria and Albert Museum)主催の展示が日本に上陸!
展示はもちろん、グッズ展開を楽しみにしていました。ジョン・テニエルの描いた挿絵のグッズがおしゃれなんです!

『不思議の国のアリス』とは?

イギリス人の数学者であるルイス・キャロルヘンリー・リドゥル家の娘たちに即興で語ったお話をもとに出版された本で「不思議の国のアリス」と続編の「鏡の国のアリス」の2作から成り立っています。
昼寝をしていたアリスが時計を持って急いでるウサギを追いかけて行くと不思議の世界に紛れ込んでしまう。アリスの体が大きくなったり小さくなったり、やたらニヤニヤしている猫に出会ったかと思うとわけのわからんお茶会に招待されたり、トランプの女王に罵倒されたり(笑)。奇妙&奇抜&不思議な登場キャラに命令されているかお願いされているか怒られていることが多く、振り回される大変な冒険物語なのですが、アリスも強気でそこが面白い。

あ、ちなみにワタシの好きなのはディズニーの口角が上がっているかわいいアリスではないです。

アリス展
不思議の国のアリス「気違いのお茶会」

口角が下がっていていつも不機嫌そうなジョン・テニエルの挿絵のアリスです。
ジョン・テニエルの不機嫌そうなアリスと、ちょっと不気味な感じのキャラが味があって良いんだよな。
グッズもファンシーなものになりがちだけど、ジョン・テニエルの不機嫌アリスと不気味キャラのおかげで、かわいくなりすぎないのが良い!

以下はワタシが持っているアリスコレクションの一部。
マクミラン社版×ジョン・テニエルの組み合わせの絵柄が好きなんです。

「不思議の国のアリス」は、なぞなぞや童謡のマザーグースをモチーフにしたエピソードがあるナンセンス児童文学の最高峰だとワタシは思っていて、それまでの子供が読む本として定番だった「しつけ」や「教育」、「道徳」的な要素が無いところが出版当時としては新しいと称賛されました。

一応、ワタシは英米文学専攻だったのですが、対人コミュニケーション専攻で文学を全くやっていないのでイギリス文学もアメリカ文学も知らん! でも「英国児童文学」なら勉強しても良かったかもなぁと今なら思う。当時は「ハリーポッター」が刊行されて最初のポッタリアンブームがきた頃で、その比較をしても面白かったかも。もちろんハリポタも大好き。コナン・ドイルのホームズも好きだし、意外と英国大衆文学や児童文学を勉強しても面白かったかもしれない。
(あ、でも、英国文学を専攻するならシェイクスピア必須かぁ。それは無理だな。

ちなみに、アリスのモデルになったリドゥル家の「アリス」のFamily nameである「Liddell」は「なぞなぞ」を意味する「riddle」と似ているし、作者のルイス・キャロルはこれはペンネームなんだけど、本名であるCharles Lutwidge Dodgsonに対するラテン語名 “Carolus Ludovicus” に直したうえに、また英語読みに戻してさらにアナグラムでアルファベットを入れ替えたという。
本物アリスと作者の名前に至るまで、言葉遊びみたいで面白いのです。

1.アリスの誕生

六本木ヒルズ内のアーツセンターギャラリーで開催されたアリス展。

特別展アリス
へんてこりん、へんてこりんな世界

第1章のテーマは「アリスの誕生」。

不思議の国のアリスの世界の入口
不思議の国のアリスの世界の入口

ルイス・キャロルがリドゥル家の娘たちに語った時は、彼自身がイメージ画を描いていたのですが、出版するにあたって当時の売れっ子挿絵画家のジョン・テニエルに挿絵を依頼しました。

アリス展
挿絵の原画や構想メモがいっぱい!

当時の社会状況や流行ったもの、科学の進歩の象徴となるグッズが展示されている。

アリス展
ドードーの複合骨格

絶滅してしまった飛べない鳥であった「ドードー」。警戒心も薄いということから、人間が近づいてもぼーっとしてそうだな。
まさに「不思議の国のアリス」に出てきそうな鳥だ!
ニコ美の解説によると、「食べるとうまい鳥」だったそうだ。

アリス展
V&Aミュージアムにある1867年版

写真右の「首が長くなってしまったアリス」はV&Aミュージアムにある1867年版の本
1867年といえば、日本では幕末!!!その時代で既にこんな印刷技術があるとは。
「不思議の国のアリス」が面白いところは、フォントの大きさや文章の配置もシーンによって見せ方を変えているところ。「首が長くなった様子」がすぐわかるように、文章と挿絵が1/2ずつ同じページに配置されている。絵本のようで面白いんです。

下に長くある横長のペーパーは「ハンプティ・ダンプティのじゃばら絵」。ハンプティ・ダンプティは「鏡の国のアリス」のオリジナルキャラクターではなく、英国の童謡「マザーグース」に出てくるキャラ。
ルイスキャロルの家族が「絵本ハンプティ・ダンプティ」のじゃばら絵を持っていたことがわかっていて、キャロルはこれをもとにキャラクターを作ったと考えられているそうです。
ハンプティ・ダンプティ。好きなんだよな。「キモカワ」の元祖だと思うの。

その他には・・・

アリス展
不思議の国のアリスの挿絵構成案

「不思議の国のアリス」の挿絵についての構成案があったり

アリス展
鏡の国のアリスの校正刷り

「鏡の国のアリス」の校正刷りがあったり。

アリス展
不思議の国のアリスの奇妙なお茶会

「不思議の国のアリスの奇妙なお茶会」の場面があったり。
この不機嫌そうなアリスの顔がいい!
ニコニコ笑っているより不機嫌な時は不機嫌を顔に出す。子供らしくていいんじゃない?ちなみに主人公のアリスの想定年齢は7歳ぐらいです。

この「お茶会」に参加している「いかれた帽子屋(The Mad Hatter)」は、原作では数あるへんてこりんなキャラのうちの一つに過ぎないのだけど、映画の「アリス・イン・ワンダーランド」でジョニー・デップの演じた「The Mad Hatter」は準主役としてしっかりキャラ立ちして、さすがジョニー・デップだなぁと思いました。

アリス展
愛しのハンプティ・ダンプティ様

あぁ。ハンプティ・ダンプティ。そのフォルムが愛しい。

代わってこちらの写真の中央で飾られている女性の写真は、成長したアリス。

アリス展
大人になったアリスの姿

子どもの頃のアリスの写真も展示されていたんだけど、おかっぱ頭の女の子でした。
でもやっぱり広角が下がっていて不機嫌そうで、髪型は違うけれどジョン・テニエルの「アリス」と似ているんだよな。
本物アリスも物語のアリスと同様に、子どもの時から変わらず好奇心旺盛のままで旅好き&冒険好きな女性に成長したそうです。

2.映画になったアリス

アリスの物語はディズニーのアニメ映画やジョニー・デップとティム・バートン監督の映画以前にも映画化されていました。会場では白黒のサイレント映画の時代の作品も見ることができました。当時では最先端だったであろうテクニックを使って描いたアリスの世界は面白かった!

展示の合間の廊下もアリス仕様!

アリス展

 

アリス展

「不思議の国のアリス」の作者であるルイス・キャロルの生誕100年の時には、本物アリスは米国を訪れたそうで、そのころの写真も展示されていたのだけど、おばあちゃんになったアリスの写真はいつもの口角が下がった「への字口」ではなく、とても笑顔だったのが印象的でした。

不思議の国のアリス チェシャ猫
不思議の国のアリス チェシャ猫

その他、撮影はNGだったのだけど、ティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」のキャラクターデザインのラフが面白かった!ジョニー・デップの「The Mad Hatter」や、ヘレナ・ボナム=カーターが演じたハートの女王とか、キャラになっていくベースを見ることができました。スケッチがいかにもティム・バートンでちょっとかわいかった。

その他では、こちらも撮影NGだけど、サルバドール・ダリの作品もありました。良く理解できなかったのだけど、ダリのシュールレアリズムとアリスは共通するものがあるよな、と妙に納得。

3.新たなアリス像

「不思議の国のアリス」に影響された広告や社会風刺記事の挿絵などが展示されいていました。
「不思議の国のアリス」自体が社会風刺的なネタが入っていたり、ダーク・ファンタジー的なところもあるので政治の風刺には合っているのでしょう。

アリス展
アリスをモチーフにした政治や社会情勢の風刺画

一番右の絵はアリスのお茶会のシーンなんだけど、アリス以外で参加している人間は男性ばかりで、アリスも迷惑そうというか嫌そうな顔をしている。「MEN ONLY(女人禁制)」と皮肉られています。

真ん中はあら、アドルフ・ヒトラー?タイトルは「ADOLF IN BLUNDERLAND」。「BLUNDER」の意味は「失策」やら「過ち」の意味で、日本語では「間違いだらけの国のアドルフ」になっている。皮肉ってるなぁ。「BLUNEDER」と語呂が良すぎて、「BLUNDERLAND」と皮肉ってる風刺画が他にもありました。これは使い勝手がいい言葉だ!

一番左は2018年の「ニューヨーカー」に掲載された絵で、あれ・・・?知っている人?
なんか、トランプ元大統領多くないか?(爆笑)
オバマ元大統領が木の上からチェシャ猫のようにニヤニヤ笑ってるし、中央でプーチンが憂鬱そうな顔をしている。(これは芋虫のタバコ吸ってるシーンのパロディだな)。そしてプーチンが座っているキノコの傘の下にはトランプアリスが!!! ジョン・テニエルの原画通りかよ!!!
そしてこの絵のタイトルが「Malice in Wonderland」! Malice=悪意。
まぁ、描かれている人たちも悪意を抱えた人たちだけど(笑)、「不思議の国のマリス」なんてもう、悪意しかない!

他にもジョン・レノンの奥さんだったオノ・ヨーコや水玉模様の前衛芸術家の草間彌生によるアリスをオマージュした作品があって面白かったです。これはぜひ会場で見るべきです!

4.舞台になったアリス

映画だけでなく舞台化されたアリス。原作に沿ったものから風刺やパロディが効いたものまでさまざま。公演衣裳やポスターなどが展示されていました。

 

5.アリスになる

現代アートやファッションのクリエーター達がデザインした衣装はワタシは興味が無いので(原作不思議の国のアリスだったとしてもディズニーでも興味は無い。ジョン・テニエルの挿絵がただ好きなんです。)スルーだったけど、「〇〇の××が見られてよかった!」と興奮して話している人がいたので、わかる人にはテンション上がる展示だったんだと思う。服飾デザイナーが好きな人にはおすすめかな。

見るモノすべてが欲しくなる!アリス展グッズ

最後は今回のグッズ。ジョン・テニエルの挿絵のグッズがたくさんでした!

「鏡の国のアリス」のマスキングテープ。2㎝ごとに切り目が入っていて、キャラクターを傷つけないでカットできるようになっています。製作者の「愛」を感じるねぇ。
その下は紅茶とショートブレッドのセット。今にもトランプのハートの女王が「首をはねろ!」と怒鳴りそう。

マスキングテープ 480円
紅茶とショートブレッドのセット 780円

 

そしてこれは「両方買わねば」という使命感に燃えたクリアファイル。

赤が「不思議の国」、青緑のほうが「鏡の国」で、本に掲載された挿絵がすべて載っていると知って即、手にとったよね。

クリアファイル 660円

今回はわりと控えめな買い物だけど、かなり厳選しました。(ポストカードとか買ってたらキリがない!)

「アリス展 へんてこりん、へんてこりんな世界」展は、アリスの挿絵原画展にとどまらず、当時のイギリスの情勢から現代のアリスまで、さまざまな視点から見せてくれた展示でした。
開催は10/10まで。あと1か月なので急いで!


今回のアリス展について、美術手帳で紹介しています。

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日本各地で開催される美術展を紹介する情報サイトです。大型企画展や、公立・私立の美術館・博物館で開催される美術展をはじめ、…

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水曜日のアリス

「水曜日のアリス」は行くたびに大量買いをしてしまう危ないショップ。特にお菓子系が充実していて金額もさほど高くないです。ディズニー版のグッズも一部ですが取り扱いがあります。

 

 

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