東京を楽しむ③ 三越劇場見学会で舞台デビューしてきた!

昨年に引き続き「東京を出ずに夏休みを楽しむ」企画。今日は日本橋三越本店の6Fにある三越劇場の見学会に参加してきました!
2016年に国の重要文化財となった日本橋三越の建物。その中にとても素敵な場所が6Fにある三越劇場なんです。

昭和2年(1927)年に「三越ホール」という名称で三越百貨店内に劇場ができました。関東大震災で日本橋三越本店は大きく損傷。その再建にあたり、建物や経済活動で人の生活を豊かにするだけではなく、文化的な復興をしたいという思いで作られたという。百貨店内に劇場を設けるというのは当時としては日本初で、海外レベルでも稀有なケースだったそうです。

三越主催の見学会に参加し、撮影と掲載許可を受けています。通常時は係員の案内に従ってくださいね。

 

三越劇場 1階客席

三越劇場
三越劇場

エントランスを入ると2階がすぐ迫っている。2階が低い!そして舞台までが近い!
三越劇場はこじんまりとした劇場でした。

バイオリン演奏で出迎えてもらったのですが、音の響きもいいねぇ。

三越劇場についてお勉強
三越劇場についてお勉強

まずは三越本店と三越劇場についてのお勉強会。

明治7年頃(1874年頃)の越後谷
明治7年頃(1874年頃)の越後屋

江戸時代の越後屋の建物のまま、土蔵造りの建物で、いかにも「江戸時代の商店」だったものが、

三越呉服店
明治37年(1904年) 三越呉服店の様子

明治37年には建物はまだ土蔵造りでしたが、「三越」の屋号の看板をのっけて現在も残る商店建築っぽくなりました。
三越呉服店を設立とともに「デパートメントストア」宣言。これまでの呉服屋は店舗にお客さんが行くと商品を奥から出してきて値付けして買ってもらうというやり方でしたが、定価で値札をつけて商品を陳列販売するという当時の日本では画期的なシステムを採用しました。

そしてその10年後にはルネッサンス様式を取り入れた洋風の建物が完成。

三越 洋風に改築
大正3年(1914年)頃の三越百貨店本店

しかし、大正12年(1923年)の関東大震災の被害にあいました。

関東大震災で被災した三越
大正12年(1923年)に関東大震災で被災した三越

外壁と柱だけを残して全焼。
そんな大変な状況でも三越は震災の1か月後には本店の焼け跡にバラックで店舗営業を始めたという。
その後の昭和2年の改修で「建物だけではなく文化の復興を願って」三越ホールが百貨店内に作られました。物資不足は物が足りれば安心するけど、物が行き渡った次に人の心を潤すのはエンタメだ。というのは今も昔も同じなんですね。

日本初のファッションショーや通信販売をやったり、店内に食堂を設けるなど、「呉服店」ではなく百貨店へと進化していきました。

という歴史をふまえたうえで、劇場内を見学します。

三越劇場

ロココ様式ルネッサンス様式が取り入れられているという劇場内。ロココというともっとごてっと盛り盛りな感じだけど、日本人の好みに合わせた良いとこどりの内装です。装飾満載だけど使う色が抑えられて、とても落ち着ける空間になっています。

三越劇場の前身の「三越ホール」時代は客席がもっと詰められていてかなり客席が混んでいたことが当時の写真からわかります。落語、演劇、歌舞伎など様々なジャンルの人気作品が演じられ、1階はもちろん2階も立ち見客でいっぱいだったそうな。

三越劇場 2階席
2階席

2階席の装飾もとても凝っている。劇場内はルネッサンスやロココ様式を採用されたというけれど、スペイン系の建築様式も取り入れられているのでは?という説明でした。たしかに2階には貝殻をちりばめた装飾があり、コロニアル様式も入っているかもな。

1階の説明を受けた後は本日のメインイベント。三越劇場の舞台へ上がっちゃいます!

 

三越劇場の舞台へあがる!

見学会への参加者のみのお楽しみ。なんと三越劇場の舞台に上がれるんです!
見学者を2つに分けて、舞台に上がるグループ、客席で拍手で迎える人と2グループに分けて移動です。

舞台の真横にある入口から入る。

三越劇場 舞台へ
いよいよ舞台へ

下手側(左側)のドアを開けるて舞台へ。羽の生えたライオン像に監視されているようだ。
ドアが低い!当時の日本人の平均身長をは女性が150cmくらい、男性が160cm。その身長の人が通れるように作ってあるのですが、170㎝を超えると頭ぶつけるな。というサイズ感。
なお三越ホール時代にはこの下手側に花道があったそうです。

三越劇場 舞台のどん帳裏
舞台のどん帳裏

舞台に上がってどん帳の裏側にやってきました。そこには大きく「火の用心」の文字が。三越劇場だけでなく他の劇場でも幕の裏側には「火の用心」の文字が書かれていることがあるそうです。
そうよね。今は機材が発達しているけど、スポットライトや配電で火災を引き起こしたら大変だもんね。裏方だけでなく、演者にとってもこの「用心」という文字は気が引き締まると思う。

三越劇場 上手側舞台袖
上手側舞台袖

 

そして開演を知らせるブザーが鳴り、幕が上がる。

 

(すごい。ブザーを鳴らしてくれて幕を上げてくれるなんて!と内心は大興奮。)

三越劇場 舞台からの眺め
舞台からの眺め

拍手で迎えられてしまった! スポットライトもこちらを向いています!

写真は広角で撮っているので奥の座席まで遠いけれど、実際はもっと近く感じ、一番奥の人の顔も判別できます。(顔が写ってしまい、モザイクをかけると不自然なので掲載は控えます・・・。)

本来なら客席の吊り下げの照明もつくだろうから、これはまぶしいだろうな。

三越劇場 2階席の奥まで見える
2階席の奥まで見える

2階の客席の奥までズームしなくてもちゃんと見えます。

そして交代。今度は客席側から「出演者」を眺める。

三越劇場

こうしてみると舞台は広く見えるけど、上がってみると想像以上に狭かったです。
「舞台やセットは意外と狭いのね」と言われているのをTV番組で見るけれど、まさにそう。これでも「家」のセットを作る時は話が展開される「茶の間」の奥で客席からは見えない「台所」のセットなどでも、冷蔵庫をや戸棚など、見えない部分も詳細に作りこまれるそうです。

三越劇場 最後尾の座席から
最後尾の座席から

逆に、最後尾の座席からはどのように見えるのかと、最後尾の座席に座った気分で通路からかがんで撮影。広角だと顔の判断までは難しいですが、裸眼でも十分に見えました。このくらいのキャパシティならどこに座ってもいいな。
ただ、昔ながらの劇場なので、傾斜が少ない。チビの私は前に男性に座られたら見えなくなってしまうな。

 

2階客席

2階の客席も案内してもらえました!

三越劇場 2階席からの眺め
2階席からの眺め

百貨店のビル2階分の高さがあるけど、さすがに天井まで近いな。
それでも2階客席は座った高さから舞台を眺めると、153㎝の私でも乗り出さなくてもじゅうぶんに見えるところはさすがの設計。1階席で後ろの方を選ぶより、2階席の前の方から眺めるほうが見やすいかも。

そしてよく見ると、天井の装飾はところどころ異なっていてバリエーションの多いこと多いこと。
劇場内の細かい装飾については次のページで紹介します。

 

劇場内の装飾がとにかく凝っているんです!

 

三越劇場 舞台からの眺め
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