旧朝香宮邸 ②朝香宮邸の顔 大客室と大食堂は贅沢の極み!

次室を挟んで小客室の対面にあるのが大客室。大客室とそれに続く大食堂は旧朝香宮邸の中でも最もアール・デコの装飾が効果的に使われているお部屋。上から下まで、何を見てもため息ものです。

1階 大客室 サロン

大客室へは次室から入る導線はありますが立ち入り禁止なので、いったん大広間に出て入ります。
ドアから入るとシャンデリアがお出迎え。

そして一歩入ってみると、誰もが「わぁ・・・。」と感嘆の声を上げます。

反射が美しい大客室
反射が美しい大客室

朝香宮邸の中でももっとも意匠が素晴らしいこの大客室はアンリ・ラパンがプロデュースしています。隣の大食堂とともに、まさに「旧朝香宮邸」の顔となるお部屋。

ガラス製のシャンデリアと扉、扉の上の金具工作が照明に反射しているて、部屋全体が光り輝いています
柱の上をよく観察してみるとイオニア式の柱頭飾りが施されていたり。さらにその上には正方形がばーっと刻まれていたり。作品ひとつひとつは大胆なのですが、目を凝らすと本当に細かい飾り付けがされている。

そして、この部屋だけで4人のデザイナーの作品が飾られている。贅沢だわ・・・。

アンリ・ラパンの壁画とライト
アンリ・ラパンの壁画とルネ・ラリックのシャンデリア
ルネ・ラリック作「ブカレスト」

植物の葉をモチーフにしたガラス作品の上にはお花のような燭台。なんと美しい造形なんでしょう。この部屋に入ってまず先に気づいて「はぁ・・・。素敵」とため息をつくポイントですね。

アンリ・ラパン作 壁画

この部屋の全体の壁画に描かれているのは森の木々と動物、水。この写真の対面の壁画はライオンの彫刻が口から水を出している噴水が描かれています。他のデザイナーの作品は幾何学的でありつつも、花や植物、水のモチーフが取り入れられるので、それらをモチーフに作品をオーダーしたのかもしれません。

ルネ・ラリックのシャンデリアに目がいきがちだけど、白漆喰の天井のジグザグの装飾もまさにアール・デコで素敵。

ライト
レイモン・シュブとマックス・アングランの作品
レイモン・シュブ作 タンパン

鉄工芸家のレイモン・シュブはアール・デコを代表する作家で、豪華客船や多くの建築物の室内装飾に携わりました。
大客室に入ってまず驚くのがドアの上にあるタンパン(半円形の飾り)の金具装飾。かわいい!素敵!おしゃれ!
噴水のような水を表しているのかな?直線と曲線が絡み合ってまさにアール・デコ。うん。確かに豪華客船の扉の上にありそうだわ。

マックス・アングラン エッチングガラスのガラス扉

左右対称にお花がデザインされていて、星のようなデザインや虹のようなデザインも見えてかわいい!
大食堂へ続くガラス扉はこの日は開けられていてデザインが見られなかったのですが、そちらにはチューリップのような花がデザインされていてこれまたかわいらしいです。

この2つの作品、別のデザイナーが作っていますが色合いといい、マッチしてるんだよな。

ラリックを除いた3作品
ラリックを除いた3作品

ラリックを除いた3作品を1枚に。ラリックのシャンデリアも入れたかったけど難しかった。
写真の暖炉も大理石ですね。

暖炉を縁取る装飾もこれまた円と直線の幾何学的な模様が刻まれています。暖炉のカバーもかわいいな。

レジスターカバー
レジスターカバー

マックス・アングランのガラス扉からインスパイアーされて宮内省内匠寮がデザインしたというレジスターカバー。星のような模様と、大客室側のお花、大食堂へ続く扉にデザインされたチューリップが組み込まれています。朝香宮邸ではお花のモチーフでデザインされたものがいくつかありますが、このデザインが一番好きです。とにかくかわいい!

大客室
大客室

こんな素敵なお部屋でゆっくりお茶を飲んだりしてみたい。女性なら誰でも憧れる。

後ろを振り返ると香水塔まで一直線に見える。個々の部屋は全く別のテイストなのに、意外と統一感があるのがさすがプロのデザイナーの仕事ですね。

 

1階 大食堂

エッチングガラスの扉の先にあるのは大食堂
玄関から入って次室で香水塔に驚き、サロン(大客室)でお茶をいただきながらくつろいでいると食事の用意ができたと声をかけられ、エッチンググラスの扉を開けるとこれまた別の意匠の素敵なダイニングルームが。ゲストの驚きが思い浮かぶようです。

東京都北区にある旧古河邸も食堂は果物や食材のモチーフが取り入れられていましたが、旧朝香宮邸も同様で、「食材」をモチーフにした装飾が盛りだくさんです!

大食堂
大食堂

ゲストとの会食で使われた大食堂。円形に張り出した先は庭園で、壁の橙色と灰色は窓から見える緑をさらに映えさせています。小客室の抑えた色使いとはだいぶ異なりますね。

欧米人は日本人と瞳の作りが異なっていて、色のとらえ方が違っていて原色を使いがちといいます。(なのでWebサイトでもお菓子でもアニメでも紫や濃いピンクなど、どぎつい色が多くなる。)
ラパンは淡い色使いや原色でない組み合わされた色をベースで使うことが多く、それが日本人にとっても居心地が良く感じるのかもしれません。

 

2人のデザイナーの作品が調和してます
2人のデザイナーの作品が調和してます

壁もガラスの扉も凝っている!

イヴァン・レオン・ブランショ 壁のデザイン

この灰色の植物がデザインされた壁は、フランスから輸送されてきたそうです。当初はコンクリートで作られたのですが、船での輸送の時に割れてしまい、日本の職人が型を取って石膏を流し込んで銀灰色を塗ったそうです。
おかげでレオン・ブランショの元のデザインを現在でも見ることができます。

マックス・アングラン エッチングガラス扉

野菜や果物、ワイングラスがデザインされています。大食堂から続くガラス扉も同じデザインで、この日は扉があけられていたので図柄がわからなかったのですが、大食堂側はチューリップや花のモチーフ、大食堂側は野菜や果物、ワイングラスと1枚の扉の両面で異なる図柄が刻まれているのがまたすごい。

アンリ・ラパンのこだわり、すごすぎる。

アンリ・ラパン 暖炉
アンリ・ラパン 暖炉

そしてラパン自身は暖炉の上の壁画を手掛ける。大客室と同様に森や噴水を描いていますが、食堂らしく果物が描かれています。壁画の左端には「RAPIN 1935」のサインもあります。

ラパンが果物にこだわったのに対し、宮内省内匠寮はお魚をデザインしました。暖炉のレジスターカバーにはお魚さんが。

魚の模様が食堂にぴったり
魚の模様が食堂にぴったり

円形に張り出した窓の下にもお魚さんが!海の泡をイメージした丸いデザインと、波を表したような横線。ちょっとゆがませることによって海中のようになっています。

そしてここでラリック登場!

ラリック パイナップルとザクロの照明
ラリック パイナップルとザクロの照明
ラリック パイナップルとザクロの照明

ラリックお得意の艶消し加工がされた照明にはパイナップルとざくろが。
これ、反転したらダイニングテーブルみたいじゃないか!? 一人暮らしの部屋に置くテーブルくらいの大きさがあるよ。ガラスって重いし、それを天井から吊り下げるって・・・すごすぎる。

ラリックの照明を覆うように天井には3本のラインがついていて、それぞれ一段ずつ下がりながらドーム状になっています。
漆喰は乾きが遅くて重力によって垂れ下がってくるため、曲面をつけるというのがとても難しいそうです。そうだよな。コンクリで作って壁紙を貼るのとはわけが違う・・・。
日本の洋館建築は早期から天井は白漆喰を使われていて、模様を彫り込んだりすることによって洗練されていったという、意外と歴史が古く。それでもここまでに至るまでには様々な失敗もあったと思います。まさに左官職人さんの匠の仕事ですね。

調度品も素敵
調度品も素敵

サイドボードかしら。ちょっとしたティーセットなどを入れておきたい。
だいだい色と灰色に合う調度品でこれまた素敵。

ここでお食事してみたい
ここでお食事してみたい

大客室といい、大食堂といい、ため息が止まらないほど豪華なお部屋でした。

それにしても「すごい」「素敵」の連発。言葉では説明ができないすばらしさです。

 

1階 喫煙室

ここで小休止。かつて喫煙室として使われていた展示ルームです。

喫煙室
喫煙室

食事後の紳士の社交場、喫煙室。旧朝香宮邸時代は和風の内装でした。
床の間、違い棚が備わった和風のテイストでした。現在は改装されていますが当時の写真は残っています。現在は、旧朝香宮邸の建物について、アール・デコについての説明資料が展示されています。

第一階段から2階へあがって見学を続けます。
2階編へ続く

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旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか
朝香宮家についてから旧朝香宮邸の建物、装飾、調度品にいたるまでを解説した本。
写真も多くて読みごたえがあります。旧朝香宮邸に置いてあり、ミュージアムショップでも購入することができます。

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大食堂
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