ヴォーリズ唯一のレストラン建築を堪能する旅。京都の四条大橋のすぐそばにある名建築「東華菜館」を見学する旅。
5階とその上の屋上を見学した次は、4階、3階、2階を見学し、待ちに待ったランチです!
4階 大宴会場
東華菜館のエレベーターは日本最古級と前回書きましたが、
2022年8月。京都を中心に展開している「まいまい京都」のツアーに参加して、ヴォーリズ設計の東華菜館でランチをしてきました! 四条大橋のたもとにある、そう、あの装飾が豪華なレトロ建築です。 いつも前を通るたびに行ってみたいと思っていたけ[…]
東華菜館のエレベーターはただ古いだけではない!
横が開く!?エレベーターは2面開閉式だった!
たぶん、5階から4階に降りた時だと思うのだけど(あまりの衝撃に吹っ飛んだ!)、東華菜館のエレベーターはなんと2面が開閉するとんでもなくめずらしいエレベーターでした!

5階から4階に向かう時に、人数も多いし、わざわざエレベーターを使わなくても・・・と思ったのだけど、チーンと到着の合図があり、降りようと待っていたら、なんとスタッフの人が私の横の扉を手動で開けているではないか!
エレベーターの中に入ると操作盤を正面にして左右に蛇腹のドアがあって、4階以外は操作盤の左側が開くんだけど、4階のみ右側に開いた!
エレベーターを思い返してみると・・・
- 日本最古級のエレベーター!
- エレベーターは手動で操作する!
入口から入って左側に蛇腹の扉があった!
写真左:入口から見ると「L」字型に扉が2つあり、それぞれのドアが手動で開く。
写真右:エレベーターの操作盤。この操作盤の左右がそれぞれに開く。
4階はフロアの半面が大きなひとつの部屋となっている「大宴会場」。
東華菜館の図面を見ると、エレベーターは4階だけは横の扉が開くようになっている。もしエレベーターの昇降口を他のフロアと同じ向きにすると、4階では扉が開くといきなり宴会をやっているところに乱入することになる。・・・・無粋だよね。
あえて導線を横に作り、大宴会場にいる人の目に留まらないようにエレベーターに乗り降りできるようになっている工夫がすごい!
エレベーターから降りるたびに注目を浴びるわけでもなく、途中退出するときのエレベーターを待つ間に手持ち無沙汰でソワソワすることもない。(エレベーターを待っている時間って気まずいよね。)
建物の使われ方をちゃんと想定していないとこんなことを思いつかない。きめ細やかに設計した人もすごければ、それを実現させた日本の大工さんもすごい!
そして4階の宴会場がこれまた素敵だった!

天井の装飾!幾何学的な模様がかわいい!

チロリアンテープの模様みたい!この模様、キーカラーが赤でとてもかわいい。こういった色使い、ヴォーリズの作品では珍しい。
もう一度言うが、本来はビアレストランとして建てられたこのビル。中華料理レストランになったのは戦後だけど、もともと中華料理店だったといってもおかしくないハマり具合なんですよね。
大宴会場の奥の柱が当時の装飾のままらしい
壁というか柱?の装飾は八芒星がモチーフになっていてかわいらしいデザインだが、奥の右側の柱が建築当初のままの装飾だと聞きました。

お店のスタッフしか入れないスペースなので近くで見ることはできず、遠目に写真を撮影。衝立で隠れている奥はどんな感なんだろう。修復を重ねて大事に使われている東華菜館のビルですが、建築当初のオリジナルな部分も残してくれているのは嬉しい。家具や調度品でも当時のものが残されているので、最後のほうで紹介します。

5階のシンプルな内装とはまったく異なる4階の大宴会場。天井、柱、どれをとってもかわいくておしゃれで、マスキングテープにして売ってくれないかなぁ。来館の良い記念になると思う。
マスキングテープにしてくれたら、ワタシ、買うよ!
3階
階段で3階に降りる。これまた4階とは内装が全く違う!エレベーターホールはまるで照明が落とされ、まるで洞窟の中にいるようだ。と思ったらこれは「洞窟仕上げ」という”しつらえ”だそうな。


アーチ門のようにくりぬかれた部屋の入口の周りには、これまた細かい装飾が。
3階には10~30人用のお部屋がいくつかあって、まずは大通り側のお部屋へ。
天井の装飾とシーリングライトに目を奪われる。まわりの壁もごてごてしておらずシンプル。4階とのギャップがすごいけれど、これはこれで落ち着いていいね。

よく見るとライトだけでなく吊り下げているところの造形も細かい。天井に映る影も含めておしゃれだなぁ。
鴨川に面したお部屋は20人くらいのキャパがある。天井の装飾のベースカラーは先ほどの通り沿いのお部屋と同じで落ち着いたデザイン。これまたマスキングテープにしたいおしゃれなデザインです。

ここはウェイティングスペースなのかな?
これまたおしゃれな調度品がたくさんある。写真正面にある木の長椅子は、ヴォーリズが設計したものです。暗くてちょっと見づらいけれど、背もたれには八芒星が刻まれています。
このスペースの奥に階段があるのだけれど、東華菜館はエレベーターに注目が集まりがちだけど、階段も素敵なんです。

階段はそのフロアのテーマとなっているカラーや装飾を踏襲したデザインで作られているのだけど、3階から2階への階段は、3階のテーマ通りの洞窟仕上げのようだ。階段を下りて行って右に曲がるところの床には花のようなデザインがある。細かいな!
次は2階の見学。そしてまた3階に戻って待ちに待った昼食です。
>> 3階 中宴会場での絶品中華ランチ
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