2021年8月。首都圏在住者向けプランがでていて安く泊まれるプランが出ていたので憧れの山の上ホテルに1泊してきました!
1937年(昭和12年)に佐藤新興生活館がヴォーリズ事務所によって建てられましたが、建築当初の内装にできるだけ近づけるべく改修されたのが2019年。改修直後の昨年にランチをしに行ったのですが、泊まるのはこれが初めてです。
2020年に行った山の上ホテルのランチのことはこちらから
2020年9月。憧れのクラシックホテル「山の上ホテル」へ。 ヴォーリズ建築事務所が昭和12年(1937年)に手掛けた作品。アール・デコを取り入れたギザギザの山のような建物が象徴的で、明治大学など大学の建物が並ぶ中でこのホテルの周りだけが時[…]
今回は宿泊ゲストなので、写真が撮りづらかった名物の階段も撮りに行きます!
チェックインロビー
ホテルの正面から入ったロビーですぐ目につくのが幾何学模様が天井と床の模様。
- モザイクタイルの床
- ライトもアール・デコ調
モザイクタイルの床は踏んでしまうのがもったいないほど素敵なデザイン。八芒星が描かれています。
天井のライトも同じような幾何学デザインです。
か・・・かわいい。まずこれで心をもってかれるよね。
この床はテラゾーという人造大理石でできているという。ちゃんと当時の設計図をもとに復元されているとのことです。
まずはロビーの奥に案内されてチェックインです。

チェックインの準備が整うまで案内されたのがこの一画。
うぉ!朝香宮邸でも見かけたラジエーションレジスター(暖房カバー)だ!

かつての暖房はどんな仕組みだったんだろう。昭和初期だから暖炉ではないと思うけど。
波型の木の壁と陶器のタイルの組み合わせ。もう、どこを見ても凝っていてため息。
このロビーではかつては作家大先生が缶詰にされて原稿を書いている間に出版社の方が待っていたそうです。スーツ姿の編集者たちが集まってイライラしながら煙草の煙をくゆらせていたり、「お宅のところもまだですか。うちもまだなんですよー。」などと雑談している様子が目に浮かぶようです。
チェックインを済ませてお部屋へ。本日のお部屋は4Fです。

廊下の上部と下部にはかわいらしいデザインのタイルが貼られている。このタイルの風合いがレトロ感があってよいのです。
デラックス・ダブルルーム

都民限定プランでちょっとお安く泊まれたデラックスダブルのお部屋。

大きな作り付けの木製クロゼット。大きくていいねぇ。
最近のビジネスホテルはこういったクローゼットタイプではなく、扉が無いむき出しのものが多いから逆に新鮮。荷物置き台もちゃんとある。
そしてデラックスダブルのお部屋はこんな感じ!

電気がついていたのだけど消して窓からの自然光へ。
窓の外は明大のリバティタワーなのだけど、間に木が植えられているので窓から緑が見える。真夏のこの時期、学生は夏休みで人がほとんどいなかったので静か。蝉の声しか聞こえずとても静かでした。
ほんとうに静かだったんだよね。親子連れが泊まっていたのはよく見たけど、朝のルームサービスの配膳以外は「宿泊客がいないんじゃないか!?」と思うくらい静かでした。朝早くチェックアウトする人たちの話声やスーツケースを転がす音も聞こえなかったし。

窓際に座って読書を楽しみました。贅沢な時間。皮張りのソファーって私のような小柄な人間はおさまりが悪くて滑って落ち着かないんだけど、なんだろう。この部屋の調度品はしっくりくる。どれも使いやすい。
このテーブルは折りたたみ式で、ルームサービスの配膳の時にテーブルを広げて使いました。
サイドテーブルには無料のペットボトルのお水が2本あり、室内の冷蔵庫に有料のドリンクもあったけど、お茶などを買って行かなかったのでこれはありがたかった。備え付けのインスタントコーヒーやお茶、紅茶を飲むのにポットでお湯も沸かせて快適快適。

ラジエーターレジスターのある部屋に初めて泊ったよ!
このカバー部分ではなく、この上から冷房の風が出ていました。かつての暖房設備は現在の冷暖房設備とそのまま使われているのね。
バスルームはビジネスホテルよりやや広め。

バスルームの上部にはかわいらしいタイルが張りめぐらされている。

このタイル。継ぎ目が甘く、現代ではぴっちり継ぎ目がわからないくらいに作られると思う。 当時の精一杯の技術で作られているんだろうなぁと思うと、この継ぎ目が見られるところが愛おしい。
山の上ホテルのバスルームは当時としては新しいものだっただろうけど、今見ると経年劣化した汚れがあったり設備に古臭いところもあります。でも、このホテルを未来永劫に渡って残していくのは掃除をするスタッフの努力ではなく、今、使うワタシ達次第なんだな。と改めて感じました。
変に改修してクラシックホテルらしさが失われたら寂しいしね。今の残り具合がクラシックホテルらしくていいな。
山の上ホテルはアメニティも素晴らしかった!

タイの高級スパブランド、パンピューリのアメニティだ!
タイといえばマッサージが有名だけど町中のマッサージ店だけでなく、スパ文化も急速に広まっています。PANPULIはその中でも成分にこだわっていて素材はオーガニックのものを使用。最近は高級ホテルとタイアップして商品を提供しています。
さすが山の上ホテル。「地球環境に配慮しています」という名の詰め替え系のシャンプーやコンディショナーではなく、胸がときめくアメニティ。しかもタイの高級ブランド!やっぱりこうでないと!
アメニティは「THAI JASMINE & MINT」シリーズでした。ジャスミンの甘さだけでなくミントがすっきりと引き締め、とてもいい香り。アメニティが入っている小さな巾着もかわいい!これは迷わず自分の分をお持ち帰り。
石鹸も同じジャスミン&ミントで、これはクローゼットに入れておこうっと。ということで使わずお持ち帰り。

デラックスダブルルームの広さは21㎡。ダブルベッド仕様なので部屋は狭く感じるかもしれないけれど、荷物を置くスペースも十分にあり、快適。入口に大きな鏡(姿見)があったけど、ドレッサーがあるのもいい!
奥に折りたたみテーブルと2脚の椅子、ライティングデスクとテレビがあります。
ライティングデスクがすごく使いやすかった。会社や既製品サイズだと小柄な私はどうも居心地が悪いのですが、PC作業にぴったり。作業がはかどる~。TVを付けず窓からの採光だけで蝉の音を聞きながらソファで読書したりデスクでPC作業したり・・・とても贅沢な過ごし方をしました。
それにしてもあのライティングデスクとチェアー。最高だったな。昭和初期の人間の体格に合わせて作られているとか現在の既製品よりやや小型なのかなぁ。
川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、松本清張など名だたる文豪が定宿として執筆活動にも使ったというのが納得。静かで居心地の良い空間でとても仕事がしやすい。誰かと泊まるより1人でゆっくり読書したりといった過ごし方に向いているホテルなのかもしれない。
私が泊まったのは410号室だけど、同じ4階の403号室は庭付きスイートルームになっていて、BSテレ東の「名建築で昼食を」でお部屋の中が放送されていましたが、作家の山口瞳や田辺聖子がよく泊まっていたそうです。「新美の巨人たち」によると、池波正太郎は畳敷きの401号室がお気に入りだったとか。
文豪の雰囲気を味わいたいなら作家名でお部屋を指定してもよいかも!
TVO テレビ大阪“真夜中ドラマ「名建築で昼食を」”公式サイト。…
ライティングデスクには赤いバラが一輪。そして山の上ホテルのロゴや象徴的な図柄が入った蛇腹便箋があり、これまたデザインがおしゃれ。
ルームキーは鍵穴差し込む式なんだけど、鍵がアンティークっぽくってこれまたかわいい。それでもちゃんとオートロックなんですよ!当時の雰囲気は残しつつ、基本的な設備は今の時代に合うように改修されている。利用客のことを考えて残すところと改修するところのバランスがとても良いホテルです。
2020年9月。憧れのクラシックホテル「山の上ホテル」へ。 ヴォーリズ建築事務所が昭和12年(1937年)に手掛けた作品。アール・デコを取り入れたギザギザの山のような建物が象徴的で、明治大学など大学の建物が並ぶ中でこのホテルの周りだけが時[…]
夏休みを東京を出ずに楽しむ企画。「憧れの山の上ホテル1泊編」の続きです。 宿泊するデラックス・ダブルルームを隅々までチェックした後は館内探検とおやつのスイーツ調達です! 山の上ホテルはカフェがある地下1階、客室がある1階から5階まで[…]
山の上ホテル
- 竣工:昭和12年(1937年)
- 設計者:松ノ井覚治(ヴォーリズ設計事務所)
- 住所:東京都千代田区神田駿河台1-1
- アクセス:JR御茶ノ水駅 徒歩5分。明治大学リバティタワーの手前を右に入り、坂を上るとすぐ。
山の上ホテル 名物の大階段とお食事編に続く