和館2階の見学を終え、入口まで戻ってきて庭園と茶室を見に行きます。
その前に、主屋の内向きな場所をちょっと見学。
1階 食堂・台所へ
庭園見学の前に、帳場の奥も見せてもらいました。
帳場の奥は食堂として使われていました。対外的な部屋は多く見てきたけれど、内向きなお部屋が無かったんですよね。意外とシンプルなお部屋。テーブルと椅子を置くほどのスペースはなく、座って食事していたのでしょうか。
手前にあるゴージャスな机は、番頭さんが使用していたのだそうです。
がっしりとした扉の作り付けの金庫もある。周りの棚など収納スペースも多く、使いやすそう。
この奥から和館の1階につながっています。
食堂からつながっているのが台所。
旧田中家住宅ではイベントで部屋を貸し出していて、水回りの準備をするのにも使われています。現代的になってますが、当時の様子が伝わってくるようです。
炊事場ということで、長年使われた跡が色濃く残る。天井や壁は煤けて真っ黒。
で、振り返って見ると狭くて急な階段が。
この階段の上は非公開ですが、BS朝日の百年名家で探索していました。
台所の奥には勝手口があるのですが、庭園側から勝手口を入るとレンガ積みがむきだしで木骨がない土間。従業員向けのスペースなので、木材と漆喰天井などで飾る必要はないのですね。
垂直に掛けられた梯子を上ると男性用の従業員部屋へ続きます。
写真の階段は物置のようなドアで隠されていて、ドアを開けるとこの急階段。あがっていくと女性従業員用の部屋があり、壁一面には当時のスターたちのポスターが飾られていました。
ドアで仕切られた隣が男性従業員用部屋でした。あの垂直階段が出入り口って・・・怖い。
こういった建築物は、ゴージャスな大広間や接客スペース以外の使用人部屋などは壊されていることが多いのですが、しっかり残っていて当時の生活もとてもよくわかる。都内だったらとっくに増改築されていたかもしれませんね。
帳場の横を通って庭園へ出てみます。
池泉回遊式庭園へ
お庭は味噌醸造が終了した後の昭和48年に味噌蔵を取っ払って作られました。
和館から眺められるように池泉回遊式で作り、大きな池のまわりに道をめぐらし、築山などを配置する。時には茶室を置いたり。
そして時には茶室も配置する。
接客スペースとして重要な機能を果たす旧田中家住宅にも茶室があるということなので、見られるものなのかな?と庭を歩いていくと、
想像以上に大きな茶室だった!
究極のおもてなし?茶室へ
茶室・・・?
茶室・・・???
想像していた茶室と違いすぎて驚き。
立礼茶席も行えるようなスペースがあったり、四畳半と八畳の2つの茶室に小間に水屋があります。それにしてはとても広く見えます。
京都からわざわざ職人を呼び寄せ、味噌蔵の建材を一部使って作られたと言われています。
例えば団体さんの接客や外国からのゲストがあった場合、茶室が二部屋、そしてこれだけ広い待合スペースがあれば思う存分に接待できる。これぞ田中徳兵衛流のおもてなし。さすが豪商。
茶室は貸し出しをしているそうなので、詳しくは公式サイトからご確認ください。
庭から洋館・和館の両方が眺めるべし
入口側からまさかこんな和室と和の庭園があるとは思わないけれど、庭園側からだと洋館の部分も含め、すべてを見ることができます。
今回は入ることができなかった和館。
下記の写真は和館側から庭を撮ったもの。和館から眺めると鯉が泳ぐ池が眺められます。
建築物好きが思わずチェックしてしまう、洋館と和館の結合部。
和館はあとから増設されたということで、接合部はけっこう大胆ね。
ワタシのこだわりとしては、庭からの、この和洋折衷の象徴のような接合部をここから見る眺めが好きだったりします。
旧田中家住宅は洋館だと思って入るとすぐに帳場があったり、帳場にあがらずとも洋間の応接室に入れたり、大広間が3階にあったり、洋間の書斎のドアを開けると和室だったりと驚きの連続。セオリー通りでないけれど「ゲストをもてなす」ことにかけては徹底的に導線にこだわっていて、面白い建物でした。
うん。住宅というより「迎賓館」なんだな。この言葉がしっくりきました。
ドアを開けると全く別の世界が広がる、そんな驚きの連続な建築物。ぜひ訪ねてみてください。
旧田中家住宅
住所:埼玉県川口市末広1丁目7番2号
Tel:048-222-1061
営業時間:9:30~16:30(入館は16時まで)
アクセス:赤羽駅からバス 坂口バス停降りると目の前
土地勘がないなら赤羽駅から行くのがおすすめ
SR埼玉高速鉄道 川口元郷駅から徒歩8分
駐車場:あり 13台
「和洋折衷のいいとこ取り!旧田中家住宅 INDEX
- (1)和洋折衷 とにかく凝った洋館なのです
- (2)素敵な階段室から3階の内蔵と控えの間へ
- (3)超ゴージャスな大広間は必見!
- (4)和洋折衷を体感するなら和室を見よう!
- (5)池泉回遊式庭園と茶室を見学
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