島原・天草・熊本の城とキリシタン遺産巡り③ 謎が謎を呼ぶ「ウマンテラさま」とは?

 

2021年3月に島原・天草・熊本の城めぐり。城めぐりがメインの旅でしたが、こちらでは城以外で訪れた場所を紹介。
2日目は大江教会、崎津教会と崎津集落を散策。謎の存在「ウマンテラさま」と出会いました。これがまたインパクトあるんだな。

 

1.崎津集落

崎津集落の歴史は戦国時代以降に始まったと言われています。静かな漁村でしたが、キリスト教が伝わると不況の拠点となっていきます。
町割りや区画や主要な道、海岸線の石積みの護岸などは江戸時代から大きな変化はなく、キリスト教信仰の痕跡が残っています。

崎津集落
崎津集落

崎津は昭和初期に海産物や近隣の地域の木材、木炭などの公益によって栄え、周辺には木賃宿や旅館が建ち、とても繁栄したそうです。
細い路地の両側に出店や商店が並んでいるのだけど、干物や海産物を扱った店が多いのも納得です。
ワタシが訪ねた2021年3月はまだコロナ期で閉まっているお店があったり人の賑わいもなかったですが、いつもはもっと賑わっているんだろうな。

 

2.崎津資料館 みなと屋

﨑津資料館みなと屋
﨑津資料館みなと屋

「崎津資料館みなと屋」は昭和11年に建てられた「みなと屋」を資料館として改修したもの。現在では崎津の歴史やこの地独自のキリスト教信仰の資料を公開しています。
観光案内所も兼ねているので、散策パンフレットもあるのでぜひ立ち寄ってみてください。

入るとまず階段を上がって2階から見学します。

2階から崎津教会が見える
2階から崎津教会が見える

みなと屋が旅館だった時代は、同じように2階から崎津教会が見えたことでしょう。

﨑津資料館みなと屋
﨑津資料館みなと屋

いかにも旅館といった雰囲気で、当時の面影が残っています。

おそらく公開されているのは旅館としての建物の一部だと思いますが、2階は4間の和室は休憩室、と2間は展示室、さらに1間の和室があります。

﨑津資料館みなと屋
﨑津資料館みなと屋 休憩室

4間の休憩室。欄間の作りがおしゃれです。

階段を下りて2つの展示室です。これが面白いんだな。

崎津集落
崎津集落 ジオラマ

崎津集落の昭和期を再現したジオラマ。海に面した集落は平地が少なく、すぐ裏手が山になっている。細い路地をめぐらして民家が密集していたことがわかります。ジオラマの奥の山を登ったところが崎津神社です。

崎津集落
崎津集落 崎津神社から眺めたところ

崎津神社の鳥居から崎津教会が見える様子を写真に撮ったけど、同じようなアングルで撮影。崎津神社からの一本道がメインストリートだったのでしょうね。

撮影ができなかったのでどんなものが展示されていたかというと、崎津での潜伏キリシタンの信心具が展示されています。

  • メダイ(メダル)
  • 古銭 メダイに見立てる
  • アワビ貝(内側の模様にマリア様を見立てる)
  • 信心具(メダイ)を中に隠したスライド式ドアを持つ柱

メダイを使うのはわかるのですが(中にキリストであったりマリヤ様であったりが刻まれているし)、アワビ貝や古銭を使ってキリストやマリア様像に見立てるというの発想力がすごい。古銭は特に「見立てたメダイの見立て」なわけで。「とにかく何かとキリスト教を紐づけて信仰したい」という切実な気持ちの表れなのでしょう。

よく幕府に見つからずに今まで残っていたなぁ。と感服。

そして最も強烈に印象に残ったのはウマンテラさま

 

3.ウマンテラさま

ウマンテラ様
ウマンテラ様

ウマンテラ様とは、崎津から近い今富集落で40年ほど前に見つかった石像で、55mの小山の山頂に祀られていました。制作年代、作者、由来も不明。祀られていた一帯の地名が「ウマンテラさま」と呼ばれていたことや、近くに聖水を汲む場所もあったことから聖地として伝わっていました。潜伏キリシタンの歴史からみて、詳細が明記されて書物がないということは致し方ないことかもしれません。

ウマンテラ様は坊主頭だけど前髪があるという不思議ないでたち。この時点で既に日本の神様を模したものではないということがわかる。
お地蔵さんのように見えなくもないけれど、右手にを持ち、背中にはがあり、足元では悪魔を想起させる獣を踏みつけていて、この3点セットが大天使ミカエルと共通点があることからミカエルを模したものという説もあります。

一説には修験道のひとつとされている「秋葉信仰」の影響を受けていて、秋葉の神様は天狗の姿で背中に翼があり、白狐に乗っている姿からその影響があるのでは?とか、天草地方には金毘羅神など烏天狗の翼を付けた像が多く祀られていることから、キリスト教とこういった地元の信仰の融合では?という解釈もあるそうですが、ワタシとしては大天使ミカエル説を推したい。

 

崎津集落は細い路地を散策するのも楽しみの一つ。そしてここから眺める海がまたいい!

 

崎津集落は狭いエリアですが、「道の駅 崎津」までいくと崎津の物産やお土産が売っていたり、崎津集落ガイダンスセンターではレンタサイクルが借りられて崎津の町をカンタンにまわることができます。崎津教会周辺の駐車場は台数が少ないので、道の駅 崎津に車を停めてレンタサイクルを使うのがおすすめです。

最後に崎津名物「杉ようかん」をご紹介。

杉ようかん
杉ようかん

杉ようかん琉球から伝わったそうで、紅色の鮮やかな色合いがきれい。うるち米の餅にあんこが包まれています。杉の葉には殺菌作用があるそうで、杉の葉と一緒にパッキングされています。崎津集落メインストリートの入口にある宮下商店でお買い上げ。
その日中に食べないと固くなるかもと言われたけど、丸一日たっても柔らかくておいしかった!崎津散策の合間のおやつにおすすめです。
もちろん、杉の葉は食べないよ!

 

崎津資料館 みなと屋

住所:熊本県天草氏河浦町崎津463
Tel:0969-75-9911
開館時間:9:00~17:00 最終入館は16:30まで
休館日:年末年始(12/30~1/1)
駐車場:崎津集落の中町駐車場は台数が少ないので道の駅崎津に停めたほうが良い。
入館料:無料

コロナ期間中は営業日、営業時間は変更になる可能性があるので公式サイトで確認してください。

<崎津集落編 終わり>

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